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2022年度

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帝人久村奨学生(第70期)交流会を実施しました!

2022年10月20日(木)に帝人久村奨学生(第70期)交流会を実施しました。今回は第70期20名中16名の奨学生に参加いただきました。

ここ数年、交流会は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンライン開催をしておりましたが、今年度は、帝人株式会社の本社に集まっていただき、対面にて実施することが出来ました。

当日、顔を合わせた奨学生の皆さんには、まず自己紹介にて趣味や将来の夢、キャリアビジョンをお話しいただき、お互いの人となりを知っていただきました。その後、オリエンテーションとして帝人奨学会や帝人に関する理解を深めていただきました。

次に、帝人グループの最新の技術や製品・サービスを集めたショールームである、「帝人未来スタジオ」の見学会を行いました。奨学生の皆さんには、通常なかなか手にすることができない素材に実際に触れて頂き、大学や企業での研究成果が実社会において、どのように繋がっているのか肌で感じていただけたことと思います。

研究概要プレゼンテーションは、時間の都合上、1人ずつの持ち時間は短かったものの、他分野の研究内容に関しても、奨学生同士で活発に質疑応答が交わされました。

最後は、修士・博士に分かれての交流の時間を設け、垣根なくコミュニケーションをとっていただきました。

全体を通して、初対面の方が多い状況でしたが、奨学生の皆さんは非常にスムーズにコミュニケーションをとっていらっしゃいました。アンケートでは、「自分の専門外の研究に触れる機会は貴重で、とても有意義だった」「多様な研究バックグラウンドを持つ人たちと交流できて良かった」「未来スタジオで実際の製品を触ることができ、貴重な体験ができた」といったご感想や、「修士博士の交流会は自由に動き回れる形式にしてほしい」「研究概要をもう少し話したかった」といったご意見もいただき、頂戴したご意見を今後の運営に活かしていければと思います。

交流会をきっかけに奨学生同士の仲を深めていただくとともに、今後のご自身の研究活動へのモチベーションアップに少しでも役立つご経験となれば嬉しいです。

役員より退任のメッセージをいただきました。

2022年春の理事会・評議員会をもちまして公益財団法人帝人奨学会の役員の職をご退任された3名の先生方からメッセージをいただきました。

澤本光男先生(京都大学名誉教授)

まずはこれまで評議員として長らくお世話になりましたこと、心から感謝申し上げます。

2010年から評議員に就任し、選考会にも携わらせていただく中で、大変多くのことを学ばせていただいた。数ある奨学会の中でも特に帝人奨学会は懐が深く、繊維や医薬のみならず、ブラックホールやダークマター、巡回セールスマン問題といった研究も対象に、幅広く審査・支援している。選考委員の専門分野もその分多様であり、この会に参加しなければ一生お会いできなかった異分野の方々と関われる大変貴重な会でもあった。

近年の日本においては、論文が増えない、特許件数が増えない、博士課程進学者が減少したなど様々なことが言われているが、そのような中でも、この奨学会の審査で感じるように、意欲的な学生は決して少なくないので、しっかり支援をしていくことが重要である。帝人奨学会には、優れた素質の人材を先見的に見い出し(スカウティング)、幅広く、末永い支援を今後もお願いする所存である。今後ますますのご発展をお祈りする。

庭野道夫先生(東北大学名誉教授)

私は2018年に内田龍男先生の後任として着任し、4年間にわたりまして、評議員を務めさせていただきました。短い期間でしたが、大変お世話になり、ありがとうございました。

御高名な先生方の間に入って、審査をするというのはなかなかプレッシャーのかかるお役目でしたが、何とか4年間を乗り越えることができました。選考会におきましては、意欲的で元気のよい学生さんの話を聞くのは大変楽しみで、これから立派に成長して欲しいといつも念じておりました。特に、研究の中身は少し未熟でも、熱意をもって前向きに研究を行っているなと思える学生さんを見ると頼もしく思っておりました。また、審査の先生方の鋭い質問にも感銘を受けました。分野外でも研究の肝を鋭く見抜く点に感心し、大変勉強になり、また素晴らしい経験になりました。

研究に意欲的な学生がいる一方で、ご存じのように、最近の若者の勉学環境は大変厳しくなっております。授業料が月千円であった頃学生時代を過ごした私にとっては想像を絶する厳しさです。若者が研究に専念できる環境を整えることは日本の科学技術の発展のためには喫緊の課題であり、奨学金制度の充実も必要不可欠と思っております。その意味で、これからも久村奨学会は若手研究者の育成に大きく貢献していくものと確信しております。

最後に、改めまして大変お世話になり、有難うございました。皆様方のご健勝と久村奨学会のご発展をお祈り申し上げます。

小林資正先生(大阪大学名誉教授)

私の学生時代の話を少しさせていただきたい。私の父親は一般的なサラリーマンであり、父からは「兄弟みな大学には行かせたいが家計の都合もあるため、授業料が高い私学以外で家から通えるところに進学してほしい」と言われていた。その条件に合う大学は限られており、必死になって勉強したことを覚えている。

大学入学後は奨学金制度を活用したおかげもあり、少し家庭教師のバイトをするだけで親にほとんど負担をかけることなく生活することができた。また、研究を始めて学生生活が忙しくなった後も、それまでの貯金で賄うことができた。このように勉学に専念しながら充実した学生生活を送ることができたのはひとえに奨学金制度のおかげだったと心から感謝している。

それから時が経ち、2010年からおよそ12年にわたって帝人奨学会の選考委員を務めさせていただいた。微力ながら奨学金の普及活動に携わることができ、心ばかりの恩返しができたのではないかと感じている。改めて、このような機会を頂けたことに感謝したい。